施設・スポット図鑑
本記事は市民編集百科事典「アニマロペディア」の項目である。典拠は Animalia-Map。地区の歴史は TMA-History-Animalia、暮らしとの関わりは TMA-Daily-Life、行き方は TMA-City-Guide を参照。 各項の絵図は市民写生会・夜景組の投稿による〔一部、描いた者の名が残っていない〕。
施設・スポット図鑑は、アニマリア市街に点在する主要な建物・広場・穴倉の絵入り目録である。掲載は「表の顔」を先に、噂は噂として後に記す。この街の作法にならい、確かめられないことは確かめられないまま載せてある〔要出典〕。
1. 中心部 — 塔の足もと
犯罪発生率が全区最低の、街で最も静かな繁華街。行政と先端技術が集まる。「タワーの下では傘を差せ」——雨ではなく視線への備えを言う。
クロノス・クロックワークス

全市の標準時を刻む巨大時計塔。針の音は中心部のどこにいても聞こえるという。塔の内部にはアニマリア創設期の歴史資料が納められているとされるが、一般公開はされていない。「時計が止まった日にこの街は終わる」という子供向けのわらべ唄が残る。
アーカイブ・ヴォールト

オラクル・タワー地下に接続する、全市民の記録を収める情報保管庫。出生・転居・縁組・死——市民の一生はすべてここに一冊ずつ収まっていると言われる。閲覧申請は通るためしがない。「自分の頁を見た者は、見たことを忘れる」という怪談は職員も否定しない〔要出典〕。
ネクサス・ラボ

先端研究施設。表向きは気象調律と公共インフラの研究所である。一方でオカルト誌『月刊ムーンサイド』は毎号のように「生体改造」「記憶の書き換え」「道術の科学化」を扱う怪文書を載せ、市はそのつど「根拠のない流言」と繰り返している。この節の中立性には議論があります。
オラクル・ブロードキャスト・タワー

市営放送の送信塔(AE 92 稼働)。番組は「つまらないが正確」というのが市民の通評である(→ TMA-Media)。「深夜の電波に、番組表にない声が混じる」という投書がラジオ局に定期的に届くが、いずれも受信機の不調で説明がつくとされる。
エリジウム・タワーズ

中心部にそびえる高級住宅。種族別空調・専用エレベーター・24時間警備を備え、家賃は月 6,000 AMT から(→ TMA-Economy-AMT)。入居者は「富と監視の共存」を冗談にする——警備が厚いことと見られていることは、ここでは同じ意味だと。
クリスタル・スカイウォーク

摩天楼のあいだを結ぶ、地上300mの透明な空中歩道。中心部随一の夜景スポットである。歩いた者はしばしば「あそこは妙に息がしやすい」と言う〔誰によって?〕。理由を尋ねると、皆きまって口ごもる。
オラクル・タワー
アニマリア中心部の最高層タワー。行政と市警の本部が入り、一般市民は立ち入れない。市民にとってオラクルは「よくできた市政AI」であり、塔に入れないことを気に留める者はほとんどいない。「オラクルさんが見てるよ」は子供の躾の決まり文句である。
本項目には長らく地下階についての記述が試みられてきたが、幾度書き加えられても翌朝には消えている。編集の履歴も残らない。——だから本図鑑は、この塔の外側しか描かない。中のことは、知らないのが市民のたしなみである〔要出典〕。
2. 中立地帯 — 誰の縄張りでもない場所
五家協定第五条が保護する、あるいは慣習的に中立とされる区画群。武器を抜かない場所、家の別なく人が集う場所。
ネオン・クロスロード

五家の区画が交わる巨大な十字路。24時間営業の露店が並び、AMT取引とバーター経済が混在する。血の十年の抗争疲れから「撃たない十字路」の慣習が自然に生まれた中立市場で、情報屋・武器商人・道術師が肩を並べる。朝は「夜明けの粥屋」の湯気で一日が始まる(→ TMA-City-Guide)。
メモリアル・ウォール

血の十年(AE 38〜49)の死者の名を、家の別なく刻んだ追悼の壁(AE 50)。街で唯一、誰も武器を抜かない聖域とされる。花はいつ訪れても絶えない。誰が供えているのかは、誰も確かめない(→ TMA-Religion)。
オーロラ・パーク

北部の巨大公園。ホログラムで人工の極光を映す。ファミリー問わず市民が集う数少ない平和な場所であり、家族連れの定番。ただし同じベンチが、夜には密会や取引の舞台になることもある〔要出典〕。昼と夜で用途が変わるのは、この街の常である。
エコー・ステーション

AE 18 に開業し、AE 71 に閉鎖された旧中央駅。「新線切替のため」と発表されたが後継駅は建設されず、閉鎖理由は今日まで公式に説明されていない。壁一面のグラフィティで覆われ、AE 100 年代からは地下レジスタンスのアジトと噂される(→ TMA-Underworld)。
エコーズ・ライブラリ

開府期からの、アニマリア最古の図書館。禁書と古代文献を収蔵し、協定第五条の保護対象である。閲覧は自由だが持ち出しは固く禁じられ、常連の作法は「借りるより読み逃げ」。深夜、誰もいないはずの書架から頁をめくる音がするという。
リフレクション・レイク

森林公園内の静寂の湖。電波がまったく入らないため、古くから秘密の会合場所として使われてきた。「水面が未来を映す」という伝説があり、湖を覗き込んで青ざめて帰る者がたまにいる〔誰も理由を語らない〕。
ツリーマーケット

高層ビルの屋上と空中回廊に展開する市場。樹上種の商談が最も活気づくのは昼である。希少品と情報のほか、「認可代行」の看板が堂々と出ているのがこの市場の名物で、素通りできれば一人前とされる(→ TMA-Politics)。
ナイトフォール・アカデミー

五家共同出資の「裏学校」(AE 58)。表の学校では教えない戦闘・諜報・道術を、各家の若手が学ぶ(→ TMA-Education)。所在も入学条件も公にはされておらず、「気づいたら通っていた」と卒業生は口をそろえる。
3. 夜の社交と見世物
灯りが灯り、街の人口が入れ替わってから本番を迎える施設群。娯楽の顔と、暗号的社交の顔を併せ持つ。
ノクターン・アリーナ

地下闘技場。ファミリー間の「名誉をかけた代理戦」の舞台であり、正面切った抗争を避けるための安全弁として機能してきた。観客席の作法は「勝者を讃え、敗者を見送り、賭けの結果を口外しない」。
ブラッド・アリーナ

シャドウ・レイヤー最深部にあるとされる非合法の地下闘技場。ノクターン・アリーナが「名誉」なら、こちらは剥き出しの見世物と賭けの本場だと言われる。場所を知る者は多くを語らず、語る者はたいてい行ったことがない〔要出典〕。
マスカレード・シアター

仮面劇場。観客も演者も面をつけるため、隣席が誰かは分からない。表向きは風変わりな芝居小屋だが、幹部や情報屋の暗号的な社交場——秘密会談や密会の舞台でもあるという噂が絶えない。
シアター・ティアトル

夜間のみ開かれる秘密の劇場。演目より観客のほうが謎めいていると言われ、幕間の立ち話に相場が立つ。影絵芝居シルエット・シアターと並ぶ「夜の情報交換所」の代表格である。
メカニカル・デン

技術者(テクノロジーに通じた者たち)の集会所。電波の悪い店の代表格で、常連は機械いじりの好事家からきな臭い連中まで幅広い。「便利な市政サービス」に頼りきらない暮らし方を、半ば趣味として研究している者が集うという。
ホワイトノイズ・カフェ

特殊な建材で外来の電波を遮断したカフェ。店に入るなり携帯が圏外になるのが「当たりの席」の合図で、常連は情報屋・技師・そして人目を避けたい者たち。コーヒーより静けさを売る店だと評される。
ミッドナイト・カフェ・ノワール

夜更けにだけ本領を発揮する深夜喫茶。情報屋と逃亡者の止まり木として知られ、常連は名前ではなく「いつもの席」で覚えられる。ここも電波の悪い店の一軒で、圏外表示が出たら本題に入ってよい合図だという(→ TMA-City-Guide)。マスターは客の顔を覚えても、翌日には忘れる約束になっている。
4. 水路・地下・周縁 — 地図の余白
中心から一枚めくった下と、外縁。表の台帳に載りきらない場所ほど、この街では雄弁である。
ヴェール・ウォーターウェイ

中心部を霧が包む水路網。石橋と水面に映るネオンが美しく、屈指のデートスポットである一方、古くからの密輸ルートでもある。沿岸は水生種の高級住宅街で、舟遊びは満月の夜がよいとされる(→ TMA-City-Guide)。
アンダーグラウンド・ネットワーク

廃棄された旧地下鉄を利用した、市の地下に広がる通路網。五家が秘密裏に使うと言われ、正確な全容図は存在しない。「赤い目をした白い兎の亡霊とすれ違った」という証言が、なぜか世代を超えて途切れずに続いている〔要出典〕。
シャドウ・レイヤー(影層)

地下に広がる無法地帯。逃亡者・反体制派・アウトローが潜み、独自の経済圏を持つ。「あそこだけは"上"の目が届かない」と潜伏者は信じているが、それが本当かどうかを確かめて戻った者はいない(→ TMA-Underworld)。
ミッドナイト・メトロ13番線

公式路線図にない幻の地下鉄。深夜0時〜3時のみ運行し、ファミリー間の密会や禁制品の輸送に使われるという。「乗った」と語る者はいるが、切符を見せられた者はいない。時刻表は TMA-City-Guide にも一行だけ載っている——載っているだけである。
ダストボーン・スラム

ブロークン・バロウと事実上ひと続きの貧民街。大火(AE 24)以来の無計画な増築が積み重なり、住民登録のない住人が多い。貧しいが相互扶助は固く、「火種は断るな」——竈の火を分けてくれと言われたら決して断らない——が街の第一の掟である。
5. 東の異界 — 近づかない方がいい東
旧イーストヤード工業地帯。AE 108 の電磁異常「グリッチ・ゾーン」初観測以来、住民の大半が退去した区画。「東で拾った物は東へ返せ」——ゾーン由来の品を持ち出すと祟るという迷信が市全域に広まっている。
グリッチ・ゾーン

東部の電磁異常地帯。電子機器が誤作動し、街灯すら点かない。「自分と同じ顔の住民とすれ違った」という鏡写しの証言が近年急増している。オカルト誌は毎年「Oracleの夢を見る場所」特集を組む。残った古株はこの一帯を「ゾーン端」と呼ぶ(→ TMA-History-Animalia)。
ファントム・ファクトリー

グリッチ・ゾーンに呑まれた廃工場。かつての製造地帯の名残で、いまは武器製造や偽造品生産の秘密拠点に使われているという噂がある。夜、誰も動かしていないはずの機械音が漏れると近隣は言うが、近隣そのものがもうほとんど残っていない。
ルナティック・サナトリウム

区境の丘に立つ精神病院。近年、「同じ出来事を家族と違うふうに覚えている」と訴える「自主入院」が増えているという(→ TMA-Daily-Life)。違法な人体実験と記憶操作が行われているという怪談が絶えないが、確かめに行った者は帰ってこない、とされる〔要出典〕。